作業を終え、仕事を納めました。
話は少しそれますが、
読まなければと思っていた本も読み終えました。
数年前、帰省した際に父上の部屋の本棚を眺めていて、
「一番、面白いと思う小説は?」と聞いたところ
「これが最も美しい文学だ。」と渡されたのが、
三島由紀夫の著した『春の雪 (豊饒の海・第一巻)』でした。
渡された当時は、緻密な世界感になかなか没入出来ず、止まってしまいました。
時間を経て、ある事がきっかけで
やはり父上の最も美しいと思った物語はどんなだろうと思い、改めて読み始めました。
内容としては
日露戦争後の大正時代の華族の令息と幼なじみの悲恋の物語で、
三島先生の言葉の紡ぎ方を知悉した文体は私には難しく
仏教の用語も出てきたりするので、辞書で調べながら読み進めました。
途中まで色を持たない『無色』の世界だという印象でしたが、
後半にかかる頃から、色彩を放ち始めて
おぉ~となり、
「死」への描写がたびたび出てくるのと、悲しい物語だとは聞いていたので
次第に色は褪せていくのかと思っていましたが、
最後まで色は保持されたままでした。
美しい物語だと思います。
大晦日、父上に会いにいくので晩酌しながら話をしてみたいと思います。