更新。

『PRODUCT』に
『MEISTER KOLLEKTION BY TANGE MOD.1932』が掲載されました。

 

また『SHOP』に

京都の『タカノ』様が掲載されましたのでよければご覧になってください~。

 

 

さて工房では新型の切削をしていますが、

「あ~ ステキな色に発色してくれるといいな。」と思いながら進めています。

 

 

そして去年植えた枝垂れ桜が今年も無事に咲いてくれ、

休憩時間に独りで花見をしとりました。

 

 

 

さぁ作ろう。

 

 

2021年4月23日 1:19 PM  |  カテゴリー:studioskyrocketの眼鏡達,製作日記,眼鏡店舗,花日記

ようやくテンプルが組み合わさったメガネが姿が見え始めた。

このおおよその完成形を久利さんに送り確認してもらい、最後の微調整をし

完成へ走り始めた。

 

 

ただこの時のやり取りで

「納期は答えれません。気長に待ってください。」と返答をしてしまった。

 

メーカーとして失格な返答かもしれないが、

そうとしか答えられなかった。納期を設定して追われる作りをしたくなかった。

 

「いいよ。いいよ。 ゆっくり作ってください。」と久利さんは理解してくれた事は助かった。

それでも作り続け、3月10日に完成した。

 

 

雪は解けてクリスマスローズが咲き始め、春を時々感じるようになっていた。

 

次の日再び検品をして、店舗へ発送した。

連絡を待つ間、朝からため息をつく事が多かった。

 

マイスター大学堂という老舗にとってふさわしい『MOD.1932』になっているのか、

それと久利さんの迸った情熱や期待に応えられた『MOD.1932』になっているのか。

 

それが頭の中を逡巡していた。けれども

「これ以上の物は作れない『MOD.1932』を出したのだから大丈夫。」と言い聞かせていた。

 

久利さんから昼前に

「見ました。素敵です。 どの色もいいです。」と書かれたメッセージが届いた。

 

その後、直接電話でやり取りをして口調からも気に入ってくれてる事が分かった。

「本当に良かったです。 涙が出そう。」と声がもれた。

 

 

ものを作り産み出す事は苦しい事だと思う。

だが作れた後、中年のオッサン2人が喜ぶこの瞬間はステキなものだった。

 

そして久利さんから「この本は丹下さんに相通ずる物があるから。」と紹介された。

 

もう少しで読み終えるが、内容は独りで出版社を立ち上げ、昔の本を復刊させ、装丁、挿絵などに拘って筆者の『美しい本に仕上げたい』という想いが淡々と綴られている。

 

素敵な『本』だと思う。

 

 

そして倒れられた大越さんは元気を取り戻して、廃業の後もたまに工房に寄ってくれる。

 

その都度、倒れた時の『幽体離脱』の体験談を話していく。

僕はもうこの話を7回は聞いた。

 

少しづつ話が脚色され本格化しているので

みのもんたの『午後はOOおもいっきりテレビ』の夏の恒例企画『あなたの知らない世界』

を観ているようで「おぉ~。」とチビリそうになっている。

 

ここら辺で『MEISTER KOLLECTION BY TANGE』のお話しを終えようと思います。

休憩したら、メガネをまた作ろう。

 

話は前枠からテンプルの話へ移っていきます。

 

去年の夏はうだる暑さが一段と厳しい物だった。

studioskyrocketのテンプルを加工してくれていた職人の『オプトピア大越』さんが倒れられた事を聞いた。

そしてコロナの事、高齢という事もあり廃業される事を知った。

 

鯖江の産業の1つの問題は『高齢化』がある。

大越さんも今後ずっとは出来ない事は認識していたが、腕が良く毎回テンプルの加工をお願いしていた。

 

それが今来てしまったかと思った。

 

大越さんは無事で大きな支障もなかったので

studioskyrocketを快く加工してくれたお礼をしにいった。

 

その後の僕には

『改めて新規加工先を探す』、『大越さんが加工してくれた部分を自身で出来るようになる』

の2択を選ばなければならなかった。

 

信頼の置ける職人さんでなければ加工を出したくない事、

また今後5年、10年後の産業の構造変化を考え、僕は後者を選択することにした。

 

この時に僕は父上に相談をした。

父上はスカイロケットでなく

宇宙へ飛んでく方の『ロケット』の製作に携わる立場の人だったので

『どこまでやるのか、喫緊の課題はなんなのか』を的確な助言で得られた。

 

 

そしてテンプル加工の機械を入れる為の工房の改装が始まった。

搬入されていく機械を入れる為に開けられた外を眺め、

「あ~僕は本当に出来るのだろうか」と不安しかなかった。

 

案の定、加工が始まっても上手くはいかなかった。

機械に取り付けた型がもげる、切削途中でテンプルが吹っ飛んだりした。

原因を考え、分からない時は大越さんに聞きに行ったり、他の職人さんにも聞きに行った。

機械のコンディションを上げる為に治具なども作り直した。

 

譲って貰った細かな治具達は大いに役に立った。

 

 

何度も改善、修正しながら

 

 

ようやく綺麗なテンプルを作れるようになった。

大越さんに見せに行った。

「上手く出来てる。これでいいよ。」と言ってくれた。

 

 

その時には冬の峠は越えようとしていた。

 

この頃から完成の姿が見え始めた。

 

続く。